2023-01-01から1年間の記事一覧

ガザ問題への哲学からのアプローチ(メモ)

グテーレス国連事務総長の声明。 Secretary-General's remarks to the Security Council - on the situation in the Middle East, including the Palestinian Question [bilingual as delivered; scroll down for all-English ] | United Nations Secretary-…

現代版「大西洋憲章」の必要性

ユヴァル・ノア・ハラリがイスラエル国内紙に寄せた記事の翻訳が出ている。 「イスラエル国民は『ハマスの壊滅』という約束以上のものを求めている」 | ユヴァル・ノア・ハラリが地元紙で訴えたこと | クーリエ・ジャポン (courrier.jp) ここで言及されてい…

戦闘を強化するなら一般市民の救済に全力を挙げよ

イスラエル軍がガザ・ハマスへの攻勢を強めている。 イスラエル、ガザでの地上作戦継続を表明 首相「戦争は第2段階」 | 毎日新聞 (mainichi.jp) イスラエル軍、ガザ北部への空爆で「150の地下標的攻撃」…3夜連続で限定的な地上作戦も : 読売新聞 (yomiur…

左派知識人の連帯の動揺

ハラリを含む左派を自任する知識人の、海外の左派知識人に対する非難声明。 Statement on Behalf of Israel-Based Progressives and Peace Activists Regarding Debates Over Recent Events in Our Region | Portside 本ブログでも複数回紹介しているような…

イスラエル政府の一貫した姿勢

父親がパレスチナ出身である米モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)のインスタグラム投稿に対し、イスラエル政府公式アカウント(Israel(@stateofisrael) • Instagram写真と動画)が激しい反論を行った。 パレスチナルーツのジジ・ハディッド、イスラエル…

平和を破壊する戦争か、平和を回復する戦争か

ユヴァル・ノア・ハラリの第四の論考。彼の足場がこれで固まったという印象を受ける。 Opinion | Hamas is winning the war, with Israel’s help - The Washington Post 戦争は別の手段による政治の延長であるという、クラウセヴィッツの命題に沿って、ハマ…

アブラハム合意

2020年の8月から9月にかけて、アメリカ(トランプ政権)の仲介により、イスラエル、アラブ首長国連邦、バーレーンが平和条約を締結したが、これを関係国に共通する「アブラハムの宗教」(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム)に因んでアブラハム合意(A…

いま、即時実行が要求されること

マーティン・グリフィス国連人道問題担当事務次長が新しい声明を出した。 Humanity must prevail in Gaza (ft.com) このなかには、グリフィス氏への「罵倒」に対する反論も含まれていると見ることができそうだ。というのも、ハマスによるテロ行為、イスラエ…

ハラリの個人的な感傷から国際社会の理性へ

ユヴァル・ノア・ハラリの第三の論考。 The World's Job During the War on Hamas | TIME テロリスト・ハマスとの「戦争」はやむなし、としている。だが背景となったイスラエルの苛烈な占領政策の問題点の自覚、およびパレスチナ市民への人道上の配慮につい…

ガザの人びとを救え

非常事態、緊急事態である。国際社会の結束と行動が求められている。 ガザ目前で積み上がる支援物資 水が尽きる恐れ、WHOが警告(1/2) - CNN.co.jp Gaza: Desperately needed aid piles up as WHO warns water is running out | CNN 記事によれば、国連人…

グテーレス国連事務総長の声明

Secretary-General’s statement on the situation in the Middle East | United Nations Secretary-General これは国連のサイトでは現地(ニューヨーク)時間10月15日付となっているが、日本時間では10月16日午前5時ごろであると考えてよいだろう。 António …

「国際社会の法の支配」に関して求められる日本のコミットメント

いちはやく出された篠田英朗氏の論考。 ハマスの「イスラエル攻撃」で泥沼の構図に引きずりこまれた欧米諸国と「日本の取るべき立場」(篠田 英朗) | マネー現代 | 講談社 (gendai.media) 末尾の次の提言が傾聴に値する。 ロシアのウクライナ全面侵攻以来、…

人道危機と国際法

国際法を遵守する当事者は、端的に言えば、すべての国家、すべての人類、ということになる。その際に国際法遵守を当事者に求める主体の代表は、やはり国連であろう。その国連の「人道問題担当事務次長」であるマーティン・グリフィス氏が10月14日付で緊…

ミアシャイマーの悲劇リアリズムという教条主義

ミアシャイマーをめぐる状況がわかりやすくまとめられているインタビュー記事。 「世界で最も嫌われる学者」ジョン・ミアシャイマーの悲劇 | ウクライナ危機をめぐる自説で物議を醸し続け… | クーリエ・ジャポン (courrier.jp) 人類は世界の悲劇から永遠に逃…

ユヴァル・ノア・ハラリの第一声

(最初の声明) Opinion | The Hamas horror is also a lesson on the price of populism - The Washington Post (詳論) Israelis and Palestinians are facing their moment of greatest danger since 1948 | Yuval Noah Harari | The Guardian 最初の声…

え?今なんて言ったの?

国連でのゼレンスキー大統領の演説を動画で見たというラブロフ露外相、ゼレンスキーの姿を「あまり幸せそうに見えなかった」と言っていたようだ。「見てたんだ」と思ったが、彼の9月23日の発言はたしかにその真意をもっと問い質したくなる。 Anton Gerash…

民族文化の窒息?

当然と言えば当然の展開だが、 プリゴジン氏の死亡は確定的 搭乗機墜落、ミサイル発射の痕跡と報道 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com) これで対立要素を消し去り、国政とその評価を国内で一元化する意図が明白になった。このことがはたして民…

役者と戦争

「劇場型○○」という表現があるが、プリゴジンの場合は「劇場型雇われ兵」のボスと言わなければならない。この人物が描き出し実践実演するシナリオは、「ロシア型世界市民主義」である。これがロシア政府の演じる「ロシア型国家主義」を微妙に牽制し揺さぶり…

思想戦の挑戦と応戦

これは問題作だ。 ロシア誌に掲載された「著名学者による『核攻撃必要論』の戦慄の中身」 | 「核兵器に対する恐れを復活させなくてはならない。さもなくば、人類は破滅するだろう」 | クーリエ・ジャポン (courrier.jp) 核攻撃の進言、という触れ込みは正確…

「世界で二番目に古い職業」の行く末

傭兵は現代に至るまで、ロシア、中国、さらには米国でも暗躍してきたとのことだが、この、前線の肉弾戦に駆り立てられながら公式な戦死者にすらカウントされない「汚れ役」を、正規軍に吸収合併することを試みたことの意図は何だったのだろうか。 武装反乱後…

政治におけるジャーゴン(内輪の論理)

「自民党防長政治」という語だが、もはやバズワードまたはジャーゴンと化していないか。 そもそも長州政治の雰囲気を知らない域外の人びとには、この語の意味するところがわからないのではないか。一般的な用語として使われることのほとんどない、完全に内輪…

ワグネルと愛国主義

愛国主義のイレギュラーな形態、というべきか。 なぜ一部のニジェール国民はフランスを追い出し、ロシアを歓迎したいのか - BBCニュース ワグネルが表舞台に登場して以来、ロシアの戦争がにわかに「顔の見える」ものとなってきた。正規軍と民兵という(法治…

「侵略者」との対話がそもそも意味をなすのかどうか、という問題は残るが…

即時停戦(=ロシアへの屈服)か戦争継続(リベラルデモクラシーの擁護)か、という問いの立て方(だけ)ではなく、格差・貧困対策かヘゲモニー維持のための支出継続か、という立て方の方が適切だ、という主張として読み替えたい。 プーチンを追い詰めたら……

ジェノサイドとしての連れ去り

子どもたちの連れ去りがたしかに「ジェノサイド」の定義に含まれている。 これはもはやジェノサイド...ウクライナを歴史から抹消、若い血をロシアに移植──連れ去りとロシア化教育にみるプーチンの野望|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweek…

帝国の命脈

帝国の歴史の恣意的な当てはめと希望的観測に満ちた記事だが、 ロシア出身の歴史家アレクサンドル・エトキントが「ロシア連邦は崩壊する」と確信する理由 | 「帝国崩壊」のシナリオと国際社会への影響 | クーリエ・ジャポン (courrier.jp) 中国と国境を接す…

「公正かつ民主的な多極的世界秩序」

「多極的世界秩序」推進のための戦争、というわけか。 ロシアとアフリカ、「多極的世界秩序」推進へ プーチン氏 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News 「公正かつ民主的な」と形容されているのが特徴だが、ウクライナとの戦争で目指しているもののどこがこれに…

現地の人々の悲痛な叫び

大義のない/大義が国民に幅広く共有されない/大義が共有されるための合理性を欠いた、戦争の帰結である。 2歳の息子を残して戦死したロシア兵士の日記「殺したくない、誰も…」 : 日本•国際 : hankyoreh japan (hani.co.kr) ロシアの生の声を届けるサイト…

利権による停戦圧力?

以下の記事のYahoo版コメント欄には、ロシアの迷走はワグネル反乱からではなく、クリミア併合からだ、とあった。だが反乱が転機となるのは間違いないように思える。 プリゴジン「反乱」で、ロシアは反撃の大チャンスを失った...見えてきたウクライナ「終戦」…

7つのBut

時系列では考えれば、たしかに前稿のような展開になると考えるのは難しいだろう。 (12) Steve Rosenberg on Twitter: "Story so far...There was a mutiny. But it was over in a day. But Russian air force pilots were killed. But no one was arrested. …

戦争大義・目的の明確化

戦争大義の壮大さ(荒唐無稽さ)および戦争目的の時空超越性(永遠の戦争以外では達成不可能な、帝政時代の版図の回復すら言い出しかねない状況)を考えると、以下のやや苦笑を禁じ得ない展開は、歴史マニアの誇大妄想とは異なる、国力に応じた戦争大義の合…