え?今なんて言ったの?
国連でのゼレンスキー大統領の演説を動画で見たというラブロフ露外相、ゼレンスキーの姿を「あまり幸せそうに見えなかった」と言っていたようだ。「見てたんだ」と思ったが、彼の9月23日の発言はたしかにその真意をもっと問い質したくなる。
遡って1991年、われわれは国家主権宣言に基づき、ウクライナの主権を認めた。この宣言はウクライナがソビエト連邦から離脱した際に採択したものだ。宣言にはよい内容が多く含まれていた。少数民族の権利の尊重もそのなかに含まれるし、ロシア語その他の言語を使用する権利を尊重するとも書かれている。ロシア語は直接に言及されているのだ。そしてこれらの内容すべてがウクライナ憲法に記載された。
だが、国家主権宣言のなかでわれわれにとって重要なポイントの一つは、ウクライナは非同盟国となり、いかなる軍事同盟にも加盟しない、というところだ。この言い回しのもとで、〔いかなる軍事同盟にも加盟しないという〕この条件下で、われわれはウクライナ領土の一体性を支持するのである。
たしかに、「NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシアは今そう言ったのか?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)」と言っているようにも見える。
最大の懸案と言っていいクリミア併合についても、新露政権の転覆への報復とロシア系住民保護のための(超法規的)措置だと考えれば、ロシア政府のなかでは「反ロシア軍事同盟(=NATO)非加盟(とロシア系住民保護)」と「ウクライナ領土保全」とが完全にセットになっているという結論となる。領土併合という最大の禁じ手を使って、西側諸国を全面的に敵対させるほどにまで、ウクライナの非同盟化が死活問題だ、ということになる。
だから、国家主権宣言の出発点に立ち返り、非同盟主義の貫徹が完全に保証されるならば、2014年以来続いている超法規措置を遡って無効化し、91年時点の領土に原状回復を図ることもやぶさかではない、という「解釈」は、十分に筋が通っているのである。