左派知識人の連帯の動揺
ハラリを含む左派を自任する知識人の、海外の左派知識人に対する非難声明。
本ブログでも複数回紹介しているような(※)、ハマス非難の欠落に対するイスラエル政府の激しい反発姿勢に一部同調して、欧米の左派知識人・文化人がイスラエル側の責任を一方的に追及する論調に陥っている点を糾弾している。
※ グテーレス国連事務総長の声明 - encyclios disciplina (hatenablog.com)
ガザの人びとを救え - encyclios disciplina (hatenablog.com)
その欧米知識人・文化人の言説の具体例が次の記事に挙げられている。
イスラエル内外の左派知識人・文化人の連帯があって初めて、原理主義勢力の暴走を抑え、普遍的価値に基づいてイスラエル人、パレスチナ人の平和共存が可能となるという。その場合、ガザ地区のハマスを一掃し、同地を非武装化することは、同地のパレスチナ人の将来の平和な暮らしを確保するための出発点であるとする。
こうした声明にはおおいに違和感を覚えるのだが、それは、現下のガザ地区市民の窮状に声明文が一切触れていないためである。この間、ついにグテーレス国連事務総長が人道支援のための即時停戦を訴えたのだが、
この文脈で事務総長がハマスのテロ行為の「背景」に理解を示すかのような発言をしたために、イスラエル国連代表が事務総長の謝罪と辞任を要求した。
イスラエルがグテーレス事務総長の辞任を要求 (tv-asahi.co.jp)
グテーレス事務総長は、イスラエル政府に対し、次のような簡潔明瞭な反論をSNSで行っている。
これは国連での「理解」発言が誤解だとして、発言の趣旨をあらためて確認したコメントである。後半、イスラエル批判のくだりにはガザへの人道支援の妨害に対する怒りがにじむ。イスラエルによるガザ攻撃を「集団的懲罰(collective punishment)」と断定している。
イスラエル政府は国連への対決姿勢を強めている。もはや「孤立を恐れない」という構えであろう。
イスラエル、国連職員へのビザ発行停止 事務総長の批判に対抗 - CNN.co.jp
このようなヒステリックで頑なな反応は、ガザ地区の人道危機をますます悪化させる。
燃料不足で給水できず、汚水や海水を飲むガザ住民(1/3) - CNN.co.jp
ハラリは、「パレスチナ人が尊厳ある生活を送れるようにするために」と言っていたはずである。ならば、最低限、グテーレス事務総長が要求する人道支援のための停戦に、左派知識人がそろって賛同することはできないのか。