戦闘を強化するなら一般市民の救済に全力を挙げよ

イスラエル軍がガザ・ハマスへの攻勢を強めている。

イスラエル、ガザでの地上作戦継続を表明 首相「戦争は第2段階」 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

イスラエル軍、ガザ北部への空爆で「150の地下標的攻撃」…3夜連続で限定的な地上作戦も : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

イスラエル軍「あらゆる前線で作戦を展開」 越境攻撃が激化 [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

ネタニヤフ首相は「悪の根絶が戦闘の目的だ」と勇ましい。

ネタニヤフ氏は戦闘の目的を「ハマスの軍事、行政能力を破壊し、人質を取り戻すことだ」と主張し、「イスラエル軍が世界から悪(ハマス)を絶滅させる」と述べた。一方で、地上戦に関して、ガザ市民の被害を避けるために「あらゆることを行う」と強調。ガザ北部の市民に対し、改めて南部に避難するように求めた。 (毎日新聞

ガザ市民を救うためにイスラエルは何をしてきたか。住民のガザ南部への非難勧告(南部でも空爆が行われているとされるが)、ラファ検問所を通じてのごくわずかな物資の搬入(10月7日以前のトラック500台/1日から以後の12台/1日に激減、医療、地下水の脱塩、等のために不可欠な石油の搬入は禁止;Statement by the Secretary-General - on the humanitarian situation in Gaza [scroll down for Arabic version] | United Nations Secretary-General)。

エジプトでの難民受け入れは難航するだろうというので、赤十字赤新月)を通じてイスラエル領内にガザ市民を受け入れるべきだ、との提言もあるが(平和を破壊する戦争か、平和を回復する戦争か - encyclios disciplina (hatenablog.com))、提案者自身、その実施可能性には懐疑的である(Israel-Hamas War: Piers Morgan vs Yuval Noah Harari | The Full Interview - YouTube)。

現状では、イスラエル政府は戦闘を激化させるための前提条件をまったく満たしていない。これでは、ハマス掃討と人質解放とを両立させるというイスラエル政府の意思の信憑性が疑われる。それだけでなく、ハマス掃討のために不可欠だとイスラエル政府がおそらく考えているガザ地区の完全封鎖により、逃げ場を失ったガザ市民の数万人、数十万人規模の犠牲が伴うこともやむなし、とイスラエル政府が考えていると受け止められても仕方がないのではないか。

(追記)毎日記事の続報。

イスラエル地上作戦継続 ハマスが人質交渉長引かせていると判断 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

高官の次の発言に注目する必要がある。

ガラント国防相は28日の記者会見で「敵は人道的解決を望んでいない。我々が軍事的圧力を強めるほど、人質解放に応じる可能性が高まる」と述べ、地上戦と人質解放交渉は両立するとの考えを示した。

これはまさに神経戦だが、表題の主張の正当性に影響を与えるものではない。