事実と問題は残る

(日本時間で)わずか一夜で収束。

ワグネル、部隊に引き揚げ命令 モスクワ進軍せず「流血回避」 | ロイター (reuters.com)

「ワグネル」プリゴジン氏、モスクワへの前進中止を発表 ベラルーシ大統領が仲介とロシア報道 - BBCニュース

「いかにも」という幕引きではある。しかし、一瞬ではあるが、「特別軍事作戦の大義」と、「前線兵士の窮状」とが正面衝突を起こしそうになったという事実は残る。これだけ先鋭化し(かけ)た論点対立は、ロシア軍側の指揮命令系統の修復に影響を及ぼすのではないか。

プリゴジンベラルーシ行きだという。ワグネル部隊の陣頭指揮は取らず、事実上代表解任か。

無罪放免となったとされるワグネル反乱兵士が、たとえ軍との正式契約を結んで社会保障はじめ地位保全が図られたとしても、あの「大義」のもとでふたたび戦地に赴くモチベーションが残っているかどうか、という問題もある。

そもそも、ロシア正規軍の官僚制、腐敗、欺瞞がストレートに批判されたあとで、あの「大義」がどこまで神通力を発揮するか、という問題も残る。

率直に言えば、プリゴジンの方針転換よりも、「クーデタ」を起こしそうになった非正規兵にオフィシャルな承認と賞賛を与えた、政府側の歩み寄りの方が数倍驚きである。