ゲームチェンジャー?

民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジンの政治的意図による「クセ玉」発言が注目されている。
 
 
 
 
長い論文の中で勝利宣言・一方的停戦、捕虜の人道的扱い、ウクライナは独立した国民国家、等の発言が明確な脈絡のない形で出てきたとのこと。この間、ワグネルがつねに前線で動いてきたこともあって、プリゴジンの発言は今後、ゲームチェンジャーのような役割を果たすかもしれない。
 
とくに「ウクライナは独立した国民国家」との見方は、ここ最近のロシアの「公式見解」と真っ向から対立するため、注目に値する。
 
戦争をいかに語るか、という点にも注目すべきだろう。
 
上記のテレビ朝日の動画でも映し出されているように、ロシア正教がロシアの現政権・政策を全面的に支持している。正教に帰依する立場はプリゴジンも同様だが、ウクライナの独立性を正面から擁護するのは、今のロシアではなかなか勇気のいることだ。
 
戦争の見方としては大きく言って、①正教と結びついた「ロシア文明vs.西側文明」という文明論的見方(S.ハンチントン流)と、②「大国支配vs.国家主権尊重」という政治体制論的見方(ハンチントンの弟子F.フクヤマの「権威主義vs.自由民主主義」は「覇権主義vs.国際協調」などとならぶそのバリエーションの一つ)があるが、「ロシアかウクライナか」だけでなく、戦争の捉え方のどちらが優勢となるか、という点も見ていく必要があるだろう。
 
プリゴジンの見方は、①を隠れ蓑としながら②を支持しているとも読めなくもない。