宗教対立「でもある」

が、その本質は「西欧の自由と民主主義をもとめるウクライナと、東方正教会・ルースキーミール(ロシア文化の共同体)の一体性にウクライナを何がなんでも引き留めたいロシアとの紛争」であろう。

紛争の背景が手に取るようにわかる記事。

ロシアは、なぜウクライナに侵攻したのか – 一般社団法人 霞関会 (kasumigasekikai.or.jp)

この記事の内容を詳述した著作。

ウクライナ侵攻とロシア正教会: この攻防は宗教対立でもある (KAWADE夢新書 S 439) | 角 茂樹 |本 | 通販 | Amazon

侵攻開始1年のタイミングで書かれた記事。

私は戦地で聞いた「攻撃で孫を亡くした」 ロシアのウクライナ軍事侵攻1年 | NHK政治マガジン

侵攻の背景を語らせたとき、角茂樹氏以上に的確に説明できる人はそう多くはいないのではないか。なにしろヤヌコビッチ大統領失脚、ロシアによるクリミア併合の2014年にウクライナ特命全権大使に就任している(ゼレンスキー当選の2か月前の2019年1月まで在任)。リアルタイムで現地を見ており、クリミア併合時、東部の新ロシア派反政府勢力を援護する軍事介入により、ロシア語話者のウクライナ人でさえロシアへの反感を強めた経緯をつぶさに見ている。

そのことを認めたうえでなのだが、これは「民主主義と独裁主義との戦争〔西側民主主義を擁護するための『聖戦』〕」ではない。これはあくまでも「西欧の自由と民主主義をもとめるウクライナと、東方正教会・ルースキーミールの一体性にウクライナを何がなんでも引き留めたいロシアとの紛争」である。このことは、角氏の著作での「宗教対立」の克明な説明からも言えそうである。宗教(および宗教支配からの解放運動)を背景とする「局地紛争」は、けっしてイデオロギー・世界観をめぐる「世界戦争」にただちには昇格しない(あるいは、そうさせてはならない)。