「自衛戦争」か「戦争ビジネス」か

「自衛か侵略か」という視点にくわえて「自衛かビジネスか」という視点も重要であろう。

佐藤優「大量の武器が闇市場に流れ、ウクライナはアフガニスタンになる」 ジャベリンを持った銀行強盗がやってくる | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

「サハリン2」、プーチン大統領令と習近平の狙い | 中国問題グローバル研究所 (grici.or.jp)

侵略戦争に対する正当防衛であっても、地域の武装勢力から武器が流出する危険はある。この点をまずは押さえておきたい。

くわえて、侵略への非難と整合性を保つ経済・エネルギー戦略。戦争長期化を予測する記事へのコメントのなかに「自由主義陣営を守るためであれば少々の物価高は我慢する」というのがあったが、日本国民のコンセンサスはどこまで得られるであろうか。

自由主義陣営と権威主義陣営の色分けは戦争ビジネスと結びつきやすく、大義名分もあまりない。文明圏(中核国と周辺国)ごとの地域安全保障というもう一つの見立てに劣らず(あるいはそれ以上に)、帝国主義的野望(ex. 旧ソ連構成国を傀儡化して地域紛争の火種を作ること)につながりやすいからだ。

おそらくプーチンの戦争は(領土拡張への野心ではなく)国威発揚を最大の目的としている(その目的は現在のところある程度満たされている)。もちろん、その基盤は盤石だとは言えない。ロシアの周辺国首脳、トカエフ(カザフスタン)、エルドアン(トルコ)、そして習近平(中国)までもが、それぞれの仕方で、おもに経済戦略を念頭に、ロシアによる本質的に内向きの国威発揚戦争に非協力的であるからだ。