世界経済への影響

Deutschlandfunkが長めの記事を出しました。コロナ危機の世界経済への影響を複数の識者に尋ねるというものです。大きく分けて、グローバル経済の将来、およびデジタル経済の到来、という論点に分かれます。

Grenzen der Globalisierung - Wie die Coronakrise die Weltwirtschaft verändert

若干の見解を紹介します。

 1. グローバル経済の将来

 Gabriel Felbermayr(ドイツ経済研究所所長)

商品貿易、資本移動、サービス貿易、そして人々の流動性は、経済全体よりもはるかに速く成長しています。その後、2008年にリーマン兄弟の破産により危機が発生し、それ以来、グローバリゼーションのプロセスは大幅に減速しました。したがって、これはドナルド・トランプとは関係ないのであって、グローバル経済における根本的な方向転換と関係があります。

[記者コメント]2008/2009年の金融危機後、多くの国、特に米国は再び自国の懸念に関心を向けた。ドナルド・トランプ大統領の就任以来、この傾向は進み、「アメリカファースト」という意味での保護主義的な経済観念につながった。

 過去25年間のグローバル化により、特定のセクター、特定の地域、ドイツを含む地域全体で、調整プロセスが痛みを伴うことは当然のことです。ザールラント州またはオーバープファルツ州の例を考えればわかるように、産業が[域外へ]移転したために衰退した地域もあります。国際貿易では、常にギブアンドテイクが働いています。自分の得意な部門、比較優位を持っているところに特化し、他の人が比較優位を持っている商品は輸入するのです。

ユーロは国際通貨としての地位をさらに強固にできるはずです。しかしそのためには、ヨーロッパでのサービスの域内市場を完成させること、銀行と資本市場の同盟があること、より一般的な財政政策、より良い票決/調整があることも必要です。これは気候保護にも、テロに対する安全保障にも、移民政策にも当てはまります。これらはすべて、ヨーロッパが共通の解決策を必要とする問題であり、これらを解決して初めて、ヨーロッパは中国と米国に対して本当に信頼できる仕方で、効果的にその立場を表明することができるのです。

 Thomas Eberhardt-Köster(ドイツAttac

[経済発展に成功し]サプライチェーン内の依存関係から脱出することに成功した中国のような国々もあるが、他のほとんどの国々は、依然として製造業において最下層に留まり、そればかりか劣悪な労働条件と環境汚染が輸出されているのが事実です。これらの国々で独立した経済発展を確立することはできていないのです。付加価値生産が依然として少数の国々で管理されているため、これは大きな問題です。進歩もまた輸出されるという理念は実現していません。そして社会的不平等は減少したのではなく増加しました。これは、利用可能なすべての実証的研究が述べていることです。

Martin Lück(経済学者)

[グローバル経済を]もっと知的に形成すればよいのです。これは分配の問題にも、環境問題にも、健康保護とパンデミックからの保護の問題にも当てはまります。グローバリゼーションは事実です。人が国境を越え、モノやサービスが国境を越えていくテクノロジーがもたらす世界では、グローバル化を逆転させることはできません。私は、ドナルド・トランプの考えているような方向でそれを解釈するつもりはありません。私たちはグローバリゼーションを取り除いてはならず、私たちはそれをより良くしなければならないのです。

答えは、ドイツがヨーロッパにもっと関与する必要があること、ドイツがヨーロッパのパートナーとのより緊密な協力を求めなければならないことだけです。そしてそれが成功すれば、ヨーロッパは間違いなく世界で聞かれる一つの声となるでしょう。現在の危機は、ヨーロッパで協調して行動できることがいかに重要であるかを示しています。肯定的に言えば、そもそも対処すべき重大な危機があったときにのみ、ヨーロッパは常に、より深い統合という意味でさらに発展してきたと言えるでしょう。たとえば、2008/2009年の金融危機のあと、そしてもちろん少し遅れて続いたユーロ危機の後で、大きな進歩が見られました。…そして、私は現在の危機がヨーロッパをより緊密に結び付け、そしてこれをある種の「善意」と受け止め、これを利用し前進することによって、将来の正しい方向へ向かうことができることを願っています。

2. デジタル経済の到来

Anders Indset(哲学者)

多くの人々が今、この機会を利用して、そう、ウイルスのせいだ、と言って、生産を手控え、仕事を減らします。すぐに、つまり次の数か月でそれが明らかになるでしょう。2021年は間違いなく自動化の年となります。私たちはデジタルの津波に直面しており、企業は人員削減を余儀なくされています。これはとっくに起こるはずだった変化なのですが、ウイルスがよい口実となるでしょう。次の2年間は非常に急進的なものとなります。

Thomas Eberhardt-Köster(ドイツAttac)

 生態学的な観点から、私たちは今、どのような生産が必要かを見なければなりません。生態系に多大なダメージを与える自動車産業が必要でしょうか? あるいは、モビリティの点ではるかに気候にやさしく、より公平な、公的に組織された交通システムは必要ないのでしょうか? あるいは、公共サービスがもっと必要でしょうか? 看護介護業務にはどのような役割があるのでしょうか? 私たちは現在、どこを見なければならないかという方向転換に直面していると思います。実際、私たちは実際に10年後、どのように生活し、ビジネスをしたいのでしょうか。