ツイッター社対応へのドイツ市民の反応

独仏首脳がツイッター社の対応を批判したと報道されています。

SNSのトランプ氏アカ停止は「問題」 独首相 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

独仏、トランプ氏のアカウント停止に反対-民間企業が言論の自由制限 - Bloomberg

トランプ氏追放は「問題」 独首相、ツイッターに苦言(時事通信) - Yahoo!ニュース

 

ドイツ国内の報道も多数ありますが、その中の一つ;

Account von Trump: Merkel sieht Twitter-Sperre kritisch | tagesschau.de

これをみますと、

・ドイツ首相/報道官は、ツイッター社のこれまでの対応(特に個々のツイートに警告文を付ける措置)には一定の評価をしていること

・その際、ソーシャルメディア企業は「政治上のコミュニケーションが憎悪、虚偽、暴力の助長によって『汚染されないよう』(dass die politische Kommunikation "nicht vergiftet" werde durch Hass, Lügen oder die Anstiftung zur Gewalt)」措置を取る責任を有しているとしていること

・これに対し、ある世論調査によれば、ドイツ国民の81%は今回のツイッター社の措置について正当だとの見解であること

がわかります。

 

背景には、ドイツの言論の自由をめぐる独特の歴史的立場、

基本法ドイツ基本法 (fitweb.or.jp)

メルケルの言論自由政策)表現の自由とドイツ - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト (newsdigest.de)

 

さらには近年のSNSヘイトスピーチ規制法があるようです。

ドイツのSNSヘイトスピーチ規制法から考える表現の自由と社会の道徳観 - TechRepublic Japan

4338829378f9b93f524fb8aeb862933b.pdf (keio.ac.jp)

「ヘイトスピーチ規制に関するアメリカとドイツの比較法的考察」 (core.ac.uk)

 

当該規制法については、ドイツ国内でも、各企業の判断ではなく、法に基づいての規制ではあるけれど、執行者(ヘイトスピーチ削除の主体)はソーシャルメディア企業そのものであるため、事業者への過大な負担となるうえ、事業者側では厳密な判断を回避して「あぶない」内容を次々と削除することにつながり、言論の自由を委縮させるのでは、という批判があります。

 

今回の件についても、制限の主体は立法者であって、(検索結果の表示を操作したり、特定意見を一方的に削除したりすることで)影響力を行使しうるソーシャルメディア企業ではないはずだというのは、納得のいくものです。しかし、だからといって国家権力が「この言論は規制すべきだ」と直接介入するわけにはいかない以上、法のもとでの自主規制強化に落ち着かざるを得ないようにも思われます。

 

とすれば、何も基本権侵害を直接に持ち出すのではなく、あくまでもプラットフォーム/メディアの内部ルールに即してのものだとしている(Permanent suspension of @realDonaldTrump (twitter.com))このたびのツイッター社の措置への独仏首脳の批判は、「規制の主体は国家権力だ」と解釈されるにせよ、「法に基づく自主規制を強化するものだ」と解釈されるにせよ、それ自身、批判の対象となるかもしれません。