兵役拒否者への「人道ビザ」の発給?
ドイツにおいては、とりわけナンシー・フェーザー内務大臣(社会民主党)のイニシアチブの下、兵役拒否を亡命申請の妥当な根拠と見なして、プーチンの戦争への参加を拒否するロシア人男性の入国を受け入れる方針を示している。だがロシアに隣接するバルト3国、フィンランド、そしてポーランドは急増するロシアからの入国受け入れに消極的だ。
ドイツ、「良心的兵役拒否」求めるロシア人受け入れに前向き(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
ドイツ、母国逃れたロシア人を受け入れか - CNN.co.jp
フェーザー氏はFAZの取材に対し、「プーチン政権に勇気をもって抵抗したために甚大な危険に見舞われる人は、ドイツにおいて政治的迫害を理由として亡命申請できる(Wer sich Putins Regime mutig entgegenstellt und deshalb in größte Gefahr begibt, kann in Deutschland wegen politischer Verfolgung Asyl beantragen.)」と明言している。フェーザー氏は「ウクライナの一般市民を殺戮する戦争に駆り立てたプーチンの人間〔人道〕軽視は、自国の兵士を前にしてもとどまることを知らない」と、部分的動員を辛辣に批判している。
Asyl für Kriegsverweigerer? - F.A.Z. (faz.net)
同記事によれば、ドイツではこの方針は与野党問わず幅広い支持を受け、もっと踏み込んで「人道ビザ」を発給すべきとの意見がキリスト教民主同盟の代議士から出ているという。
ラトビア外務大臣エドガルス・リンケービッチ氏はこうした動きに対してひややかだ。彼は「動員を理由としてロシアを去る多くのロシア人は、(ロシアによる)ウクライナ人の殺害を是とし、これに反対しなかった。彼ら〔兵役拒否者〕を〔亡命申請の根拠となる〕意識的な反対者と見なすのは正しくない。彼らの受け入れには安全保障上の甚大なリスクがある」と主張している。
ドイツではすでに反体制派、ジャーナリスト、科学者らを対象に438件の人道ビザを発給しているようだが、兵役拒否者への同ビザ発給はまだ予定されていないという。EU全体を巻き込んでの議論の行方が注目される。