人類普遍の立場を譲らない外交

人類的視点に立てず、あくまで日米同盟強化の枠内でしか動かない(動けない)国

この指摘は重い。

平和記念式典へのロシア不招待は何が問題か 被爆地・広島が人類史的役割を放棄した瞬間:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

この外交姿勢の結果こそが、G7声明と、バイデンが阻止し得なかったペロシ下院議長の訪台をきっかけとする日中首脳会談中止であった。

なお、プノンペンの東アジアサミット外相会議(8月5日)席上、林外務大臣の発言中に退席したのは、王外相だけでなくラブロフ外相もであった。

中国、台湾問題で日米に反発 戦争の歴史にも言及―東アジア会議:時事ドットコム (jiji.com)

ブリンケンはASEAN諸国、オーストラリア、日本、韓国、インド、ニュージーランドの外相を中国非難の陣営に取り込もうとしている(ASEAN諸国とインドは簡単には従わないだろう)。

米国務長官、中国は台湾海峡での現状変更を試みている - Bloomberg

その一方で、ペロシ訪台を、ロックダウンによる経済の低成長、独自の首脳外交の成果がないことなどから党の長老たちに評判が悪いとされる習近平を利することになる「オウンゴール」だとする論評もある。

「ペロシ訪台」は米国の失策、習近平総書記「3選」の最大の追い風に 東アジア「深層取材ノート」(第148回)(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

G7声明の趣旨は、一方的な現状変更を慎み、台湾海峡問題を平和的に解決することを要求するという穏当なものだったが、「G7諸国の国会議員の誰が〔今回のようにナンバー3の立場の要人であっても〕台湾を訪問しようともそれは当然の権利を行使したまでであり、それを口実に軍事行動を開始するのはおかしな話だ」ともとれる声明の言い分は、さすがに中国首脳の逆鱗に触れたのであろう。

(G7声明原文該当箇所)

There is no justification to use a visit as pretext for aggressive military activity in the Taiwan Strait. It is normal and routine for legislators from our countries to travel internationally. The PRC’s escalatory response risks increasing tensions and destabilizing the region. 

中華人民共和国を、中国を代表する唯一の国家として認めたのは誰かを忘れるな。台湾問題を生んだのはアメリカだ。」と断じるのは遠藤誉氏。

「台湾海峡の平和及び安定の維持に関するG7外相声明」を斬る | 中国問題グローバル研究所 (grici.or.jp)

ところで、トルコのエルドアンが独自外交を本格化させている。

プーチン大統領 トルコ・エルドアン大統領と会談 (tv-asahi.co.jp)

CNN.co.jp : プーチン氏、トルコのエルドアン大統領を称賛 穀物輸出再開の仲介で

ロシア・トルコ首脳、経済・エネルギー協力強化で一致 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

スウェーデンフィンランドNATO加盟申請時の対応も含め、「老獪」の一言に尽きるようなエルドアンの外交手腕は、日本政府首脳にはなかなかまねができそうにない。とはいえ、歴史的経験からも譲れない一線、「時の政権の立場〔対米従属〕を優先」(冒頭記事)することの許されない人類普遍の立場があるはずだ。政府はどうしてそれを明確に打ち出さないのか。