新型コロナウイルスとの「共生」とは?

新型コロナウイルスが「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と同様、消滅しない可能性がある」とのことですが…

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無症状ないし軽症の状態で他人に感染させる可能性があるという点が、今回の新型コロナウイルス最大の特徴であるとすれば、「消滅しない可能性がある」という点ではともかく、感染形態においては「HIVと同様」だとは到底言えません。

「新規感染を検出する能力を持たずにロックダウン(都市封鎖)措置を緩和すれば、公共衛生と経済破綻の悪循環に陥ると懸念している」との認識に基づいてウイルスの「徹底的な制御」の必要性も説かれています。しかし、消滅しないかもしれないウイルスを相手に、これを「徹底的に制御」するための唯一の手段が都市封鎖であるとすれば(もちろんWHO担当者もそんなことは言ってないのですが)、それ自体が世界経済を木っ端みじんに破壊するでしょう。

さらに、断続的に都市封鎖を繰り返してもウイルス自体は「エンデミック」(局地的流行)状態で存続するとすれば、経済的打撃を与えるという点だけでなく、ウイルス自体への対策としても、都市封鎖はあまりに膨大なコストの割に合わない、ということにならないでしょうか。

実際、担当者は「新規感染を検出する能力を持たずにロックダウン(都市封鎖)措置を緩和」することが危険だ、と言っているのであって、ここには「新規感染を検出する能力」に、「感染者を隔離し感染拡大を阻止する能力」が加われば、都市封鎖は必要ない、という含みも読み取れます(正確に言えば、「危険性のない状態とするためには、都市封鎖を緩和しないか、または、新規感染を検出する能力を持たなければならない」となります)。

ウイルスとの「共生」という表現がまたもや出てきましたが(ただしこれは記者の表現)…

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「消滅しない」ウイルスとの、ウイルスが人体に危害を加えない形での「共生」方法とは、通常の衛生管理・社会的距離の確保と並んで、やはり

  1. 検査の拡大(研究機関の検査機器や、公的承認を得た民間検査キット含む;症状が出る以前の国民に広範な検査を施すことが肝心)
  2. 感染者の隔離(自宅待機―これはインフルエンザと同様、ただし「無症状」の場合も含む点が異なる―または病院外の施設で 参照;軽症者らの宿泊療養先 倉敷に確保 新型コロナ感染拡大に備え岡山県:山陽新聞デジタル|さんデジ 

    コロナウイルス関連レポート 南京市の封じ込め作戦に学ぶ ホテル関係者は英雄だという自負を① | ホテル・レストラン・ウエディング業界ニュース | 週刊ホテルレストラン HOTERESONLINE

  3. 発症者の手厚い治療(参照;新型コロナ:「ICU病院、国が新設を」 大阪府・吉村知事が提言 :日本経済新聞

    コロナで高齢者が「集中治療を譲る意志カード」は日本に必要?|NEWSポストセブン サンタクルス病院=コロナ対策で集中治療室増床=万全の院内感染対策で対処=「通常医療の方、早めの来院を」 – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB

これ以外になく、とくに無症状・軽症時の感染拡大に鑑みれば、「2」に(ようやく導入検討が始まった)「コロナ接触アプリ」を取り入れることは、その導入の仕方を慎重に議論しなければならないとしても、避けて通れないでしょう。

これらの手段を日常化することは、おそらく、これまでの社会生活を大きく変えることになります。さしあたり思いつくこととして、私たちは(現在すでにそうしているわけですが)人と人との私的接触において「公共的」意味をつねに意識しなければならなくなるでしょう。